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イーモン(ブレイクス)、『TOUCHDOWN』を語る!

12月16日にサード・アルバム『TOUCHDOWN』をリリースするブレイクス。
イーモン(Vo)が新作について語ってくれました。


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Photo: Nic Shonfeld
――今作『Touch Down』は、フォークやサイケ、パンクが融合しつつ、スリリングさだけでなく永遠に聴いていられるような不思議な心地よさも宿っています。そういう意味で、これまでのあなたたちの活動の集大成のような側面もある気がしましたが、作り始めるにあたってはどういう方向性/目標を意識していましたか? イーモン・ハミルトン(以下全て)「今回は……と言うより、いつもそうなんだけど、僕達は20年後に聴いても、楽しんで貰えるようなアルバムを作りたいと思っている。それに加え今回は特に、過去の作品よりも、曲づくりに力を入れたんだ。過去2作に入っているような、短い曲は極力避けるようにした。それにさ、僕は結婚したばかりなんで、それも影響していると思う。つまり、結婚まもない僕の想いって言うか、そういうムードも、今回のアルバムに入れたかったんだよね。あと、今回これまでと違ったのは、スタジオ入りする頃には、曲の大部分が完成していたこと。だから実際どんな曲をレコーディングするか、ちゃんと把握していたんだよね。セカンド・アルバムの時には、スタジオの中で曲づくりを行なっていたからね。
――どうして今回は、あえてそうしようと? 「スタジオで同時に曲を書いてレコーディングするのは、凄くプレッシャーを感じることで、僕はあまり心地好くなかったんだ。でも、今回は全曲が完璧に出来上がっていた状態ではなかったから、次作はすべて完成した状態でスタジオ入りしたいと思ってる。そうそう、『TOUCHDOWN』の曲に取り掛かっていた頃、僕ひとりでアコースティック・ギター1本抱えて、イギリスをツアーしたんだよ。それで新曲をプレイしてみては、みんなの反応を観たりもしたんだ。あれは良かったね。コードしかない曲に、そのライブの雰囲気によって、ぶっつけで歌詞を作って歌っちゃって、それで上手くいっちゃった曲もあるしさ(笑)」
――(笑)前作はナッシュビルで録音されましたが、あの時の経験で、新作に生かされたこと、役だったことと言えば? 「あそこで『スタジオ入りする前に曲を書いた方がいい』ってを学んだのさ(笑)。あと、スタジオを所有している人物が、エルヴィスの作品でピアノを弾いたことのある人で。僕達のあのアルバムでも、ピアノを弾いてくれたんだ。凄く光栄なことだったね。それにナッシュビルは、音楽と深い関係のある町だろう? 色々な歴史を誇っているし……。それは(今作を録音した)グラスゴーにも共通する面だよね。僕達の大好きなバンドの幾つかは、グラスゴー出身なんだ。例えばティーンエイジ・ファンクラブやパステルズ、ベル&セバスチャンとかね。だからナッシュビルでもグラスゴーでも、レコーディングは同じような意味で、物凄く興奮するような体験だったな。二つの場所には共通点があるし、ああいう音楽の歴史のある場所で、続けてレコーディングできるのを、凄く嬉しく思っているよ」
――グラスゴーでは、Cham19でポール・サヴェージと録音されましたね。ポールといえばモグワイをはじめ数々の素晴らしいグラスゴー・サウンドと携わってきた人ですが、、彼と一緒にやろうと思った理由は? 「彼が関わってきたアルバムはたくさん聴いてるけど、僕達は何よりも、彼のデルガドスの時代のドラム・サウンドが凄く気に入っているんだ。あれは、素晴らしかったよね。そして実際に彼に会ってみたら、彼も僕達のことを知っていて、ライブを何度か観ていて、とても気に入ってくれていたって言うんだ。初対面から凄く良い感じだったよ。レコーディング中も、僕らは毎晩彼のために料理もしていたほど、すごく良い雰囲気の中で作業できたんだよ(笑)。 彼と一緒にやってみて、特にテクニカルな面でいろいろと勉強になったね。例えばマイクの設置場所とか方法とか、そういうことさ。。とにかく、素晴らしかったよ。僕達を上手くリラックスさせて、自信を持たせてくれて、最高のパフォーマンスを引き出してくれた。ほんと、彼は最高に良かったなぁ」

«前半より

――なるほど。ところで今作を作り始める前に、バンドは2か月の休みに入ったそうですね。 「ああ、あまりに長いことツアーが続いたんで、僕達全員、燃え尽きてしまったんだ。それでまずは、イギリスのカントリーサイドの、何もないような場所に建つ牧場の納屋を借りて、のんびり休みながら、そこで曲づくりを始めたんだ。そこで生活していたんだよ。寝るのも食べるのも、4晩ほどずっとそこでしてた。それで身も心も休めて、その間に素晴らしい曲を4曲書き上げたよ。“Don’t Take Me To Space”“Gimme Two Shocks”、それからBサイドに収まったのと、結局今回使わなかったのと、計4曲さ。それでその4晩の後に、数か月の充電期間をとったんだ。その数か月の間にも、曲づくりは続けていたんだけど、とにかく休みをとりたくてさ。そうして結果的にも、素晴らしい数か月を過ごすことが出来たんだ」
――曲づくりをする上で、そういう孤立した場所での経験は、通常の場所とは何か違いました? 「僕達ブレイクスの場合、極端な話、4人が同じ部屋に集まって、その時みんなが楽器を持ってさえいれば、それが何処であろうと、曲は書けると思うんだ。みんなで集まって、みんなで力を合わせると、とっても凄いものが作れるところが、このバンドの大好きなところでもあるしさ。今回もそんな感じで、作業が進んだんだ。何もない隔離された場所で、みんなで集中して、楽器をプレイしながら、ひとつのものを作り上げていけて、それが凄く良い感じのサウンドで、それはもう凄く気持ちよかったなぁ。“もっとやりたい”っていまからワクワクしているほどだよ」
――あなたは休みつつ、曲づくりもしていたわけですよね。他のメンバーは? 「マークは素晴らしいミュージック・プロデューサーなんで、色々なアルバムをレコーディングしたり、プロデュースしたりしていた。それからアレックスはもうひとつのバンド活動に集中していたし、トムはソロ・アルバムの曲づくりに専念していた。みんな、それぞれのことで忙しくしていた感じだね」
――ところでパンクなハチャメチャさのイメージも強いブレイクスですが、あなたの書く曲は、たとえば"Worry About It Later"や"Eternal Return"をはじめとして、フォークやカントリーなどトラディショナル・ミュージックからの影響を濃厚に感じさせるものも多いですよね。あなたがそういった、トラディショナルな音楽に惹かれる理由を教えてもらえますか? 「うん、僕はウディ・ガスリーやジョニー・ミッチェルなどのブルース・ミュージックを、たくさん聴きながら育ったんだ。だからそういうタイプの音楽は、今でも大好きなんだ。現在聴いても古いと感じないし、そういうところにもまた、強く惹かれているし、だから僕もさ、ああいうタイプの音楽を絶やさず、何らかの形で継承していけたらと思ってるよ」
――ところで、先ほどご結婚の話を聞きましたが、シークレット・トラックの"First Dance"には、曲作りにあたってロマンティックなサイド・ストーリーがあるとか。 「(照れ笑い)ヘヘヘ! うん、そうなんだよ! 実はさ、結婚式の音楽を僕が担当したんだけど、とにかくこじんまりした小さな結婚式でさ。式はパリでやって、実はしばらくあそこで暮らしていたんだけど、とにかく、僕の家族と彼女の家族だけが参加した、ごくごく小さな結婚式で……。で、その時の音楽を僕が担当して、その時に、ファースト・ダンスの為の曲を探していて、でもぴったりくるような曲が思いつかなくて、それで自分で書いちゃったんだ」
――自分の大切な人のために曲を書く、という新鮮な経験があなたにもたらした発見など、何かありましたか? 「彼女と出逢い、彼女を想うようになってから、色々なインスピレーションが湧いてくるようになって、それが曲づくりにも影響しているのは、確かだよ。とにかく僕はいつも、曲を書く時は、会話を意識して取り組んでいるんだ。彼女と会話している感覚だったり、彼女のことを誰かと会話している感覚だったり。実際に彼女と会話している中から、曲のインスピレーションを得たりもするしさ。今も昔も、そういう中から曲は生まれる。でも実際に曲づくりに取り組んでいる瞬間は、そのインスピレーションがどこからきているのかとか、そういうことを意識することはないんだ。出来上がって、読み返した時に初めて、その時々のどういう経験や想いから、その曲が誕生したのか、それを改めて知るような感覚かな」
――ちなみに今回、特に歌詞の面でインスパイアされた出来事、抱き続けていたオブセッションは、何かありますか? 「何か特定な出来事や物事…というよりは、人生や日々の生活の中のあらゆるものから、インスピレーションを受けたね。人の会話に耳を傾けている時に、ふと湧いてきたりもするし。そう、とにかく、やっぱりポイントは『会話』だな。友達の会話を聞いている時だったり、何処かで見知らぬ者同士が会話している、その内容だったり。それは今回のアルバムに限らないんだけどね」
――そして生まれた作品を『Touch Down』とした理由は? 「“Don’t Take Me To Space”と関係しているんだ。あの曲の中で、宇宙人と出会った僕が、『宇宙になんか連れて行かないでくれ。そんなところへは、行きたくなんかないんだよ』と訴えているんだけど、(このアルバム・タイトルは)宇宙人が“touch downした(着地した・着陸した)”ところから引っ張ってきたというのと、それからこれに関連するんだけど、と同時に、“まだ見ぬ地に着地する”という意味もかけてるんだ」
――日本でもブレイクスのライブが実現するよう祈ってます! 「僕達もぜひぜひ行ってみたいと思っているよ。実は……僕さ、ずっと銀色の宇宙服を着ながらライブをやっていたんだよ(笑)。でも全身プラスチック製で、汗が止まらなくて大変だったんだ(笑)。暑くなって、気を失いかけたことも何度かあるくらいで。だから今はもう、コットン製の服に戻っちゃった(笑)。でも、とにかく、僕達のライブは物凄くカッコいいよ! うん、ライブがとっても良いバンドだと、自分達で思ってる。メンバーの間で、絶えずアイ・コンタクトを取りながら演っていて、互いを信頼し合っていて、凄く団結してる。そういう面も、ライブに出ていると思うな」
インタビュー構成:妹沢奈美
通訳:永田由美子

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