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KOOPの本質に迫る!
オスカー・シモンソン(KOOP)インタビュー!
koop photo

洗練されたジャジーなサウンドと多彩なボーカル、緻密なアレンジが織り成すロマンティック・ワールド!
オスカーとマグナスが選曲した初のベスト・アルバムをリリースするKOOPの最新インタビュー!


ーーKOOPを結成して、既に15年が経つんですよね。それについての感想は? オスカー・シモンソン(以下O):もう一生分やった気がするよ。(笑) ーーKOOP結成以前、マグナスとあなたはどんなことをしていたのでしょう?そして、どんなきっかけで知り合ったのですか? O:学校時代に、ジャズにすごく興味を持ったんだ。その後、18歳になると学生パブに行けるようになってね、毎週水曜日にクラブですごくいい音楽をやっていたんだけど、そこのDJの1人がマグナスだったんだよ。当時僕は、16歳の時に結成したジャズ・バンドをやっていた。学校にはジャズ好きの連中なんか誰もいなかったんで、僕たちは謀反者だと思っていた。ところが18歳になってクラブに行けるようになると、この手の音楽を好きな人が他にもいたんだってことがわかったんだ。マグナスとも知り合って、それから間もなくして一緒に音楽を作ることにしたんだよ。 ーーその頃ジャイルズ・ピーターソンのトーキング・ラウドは既に全盛で、ジャズをポップ・ミュージック/クラブ・ミュージック側の視点から捉え直した事をやろうとする人たちはいたと思います。当初、影響を受けたり、憧れを持った人はいましたか? O:18歳の頃はいろんな音楽を聴いていたけど、ジャズが好きだったし、ジャズ好きの人が他にもいることに気がついて、彼らはジャイルズ・ピーターソンといったイギリスのアシッド・ジャズが好きだった。自分が好きな音楽を他の人も好きだということがわかるとすごくうれしいけど、僕たちとしては90年代のジャズとは違ったジャズをやりたかったんだ。 ーーあなた方の音楽は、サンプリングを駆使しているにも拘らず、いかにも生演奏に聞こえるところがすごいですよね。 O:そこがポイントだったんだ。他のみんながサンプリングを使った、ループを元にした反復性の音楽をやっていたのに対して、僕たちはサンプリングを1種類じゃなくて50種類も使って、いろんなブリッジやサビを入れて曲に仕上げたんだ。サンプリングを使ってポップ・ソングを作ったんだよ。 ーーこれまでの活動において、ターニング・ポイントと言えるものはあったでしょうか? O:ターニング・ポイントは2回あったと思う。1997年にアルバム『サン・オブ・クープ』を作ったんだけど、これはとても地味でダークだった。それに飽き飽きした僕たちは、今度はとてもハッピーなものを作りたくなった。セカンド・アルバム『ワルツ・フォー・クープ』で最初に作ったのがタイトル・トラック「ワルツ・フォー・クープ」で、これは3分間のハッピー・ソングだった。そして、これが大きなブレイクにつながった。でもその後、僕たちのダークな面を再発見することになった。最新アルバム『クープ・アイランズ』で作った最初の曲「クープ・アイランド・ブルース」がそうだった。そこでまたダークな面を発見してしまったんだよ。(笑) ーーベスト・アルバムがリリースされますが、この時期になぜ組もうと思ったのですか?また、どういう基準で選曲をしたのでしょう? O:僕たちの何たるかを1枚のアルバムで説明する必要があると思ったんだ。いまどきは、1曲しか聞かない人もいれば、アルバムを丸々聞く人もいれば、4曲ダウンロードする人もいるから、僕たちがどういったことをやっているかを説明したかったんだよ。そのために、僕たちにとって最も重要な曲をベスト盤に選んだんだ。 ーーいろんなシンガーに歌ってもらいますが、シンガーを起用する際の着目点はどんなものですか?実際、曲によって異なると思いますが、どんな要求/指示をシンガーには出すのでしょう? O:まず曲を書いてから、それを歌うのに一番ふさわしい人を選ぶんだ。KOOPらしさというものがあって、それを歌にもあてはめるんだよ。スウェーデンっぽい感じに歌って欲しいんだな。基本的に声には4種類あってね、男性のダークな声、男性のブライトな声、女性のダークな声、そして女性のブライトな声だ。曲に必要なのはこの4種類なんだよ。 ーースウェーデンっぽさというのは、どういったものなんでしょう? O:アメリカの音楽を聴けば、アメリカのものだということがわかる。言葉のアクセントとかでわかるよね。日本の音楽でも、それとわかる。でも、スウェーデンの音楽は流動的で、イギリスかもしれないしアメリカかもしれないし日本かもしれない。スウェーデン人であるということは、流動的であるということなんだ。とてもグローバルでわかりやすいんだよ。 ーースウェーデンでは当初、KOOPが日本人であったと思われていたとのことですが、それはどうして? O:(笑)あれは、僕たちの初のヒット・シングル「サマー・サン」を歌ったユキミ・ナガノが日本人とのハーフのシンガーだったからだよ。彼女がビデオに登場したんで、僕たちは日本人だと思ったスウェーデン人もいたってわけ。 ーー「Glömd」は2枚のレコードを同時にかけたのがきっかけで出来たそうですが、いつもお二人はそうした奇妙なことをしているんですか? O:当時は、機材を持っていなかったんだ。電子録音装置を持っていなかったんで、2つのサンプルがばっちり合えば、コンピューターでレコーディングしてチェックするでもなく、2台のレコード・プレイヤーを使って同時にかけたんだ。最初は、そういうやり方でやっていた。機材も何もなかったんだから。いまどきはノート・パソコンがあれば音楽が作れるけど、1997年当時は音楽を作るためにはいろんな機材が必要だったんだ。


«前半より

ーーそういえば、お二人は女装した写真をお撮りになり、それをアルバム・カバーに使ったりもしていますよね。 O:そもそものきっかけは、1999年にある有名なカメラマンが僕たちのスウェーデンのレコード会社のアーティスト全員の写真を撮りたいと言い出したことだった。その時は1枚だけ撮ってもらうことになっていたんだけど、スペインのゲイ・パーティに行った時に撮った写真がマグナスの家に飾ってあったんだ。僕たちはゲイじゃないんだけどね!で、その写真に、青いドレスを着て山岳写真の壁紙の前に立っている男が写っていたんだけど、僕たちはそれを真似ることにして、ドレスや壁紙を買った。それがセカンド・アルバム『ワルツ・フォー・クープ』のジャケットになったんだ。それ以来、ジャケットではずっとドレスを着ているってわけ。理由は説明出来ないけど、とても自然に感じられたんだ。音楽を一緒に作っている男二人の写真って、必ずカッコ良く見せようとかするだろう?でも、僕たちは変装したかったんだ。 ーートラックはかなりサンプル音をモザイクのように重ねているんですよね。管楽器のソロは実際のプレイヤーを使っているのかとも思いますが、生音とサンプル音の比率は? O:生音のパートはかなりあるよ。1曲の中には、大抵生演奏によるソロ楽器が1つ入っている。各曲に、生楽器は1つ2つ入っているよ。でも、ドラム、ストリングス、クワイアー、ホーン・セクションは全てサンプルなんだ。 ーーソロ楽器はあなた方が弾いているのですか?それとも、他のプレイヤーに弾いてもらうんですか? O:僕たちは楽器は弾かない。ホーンとかは弾かないんだ。僕が弾くのはピアノだけだもの。 ーーやはり、トラック1曲分が完成するにはけっこう時間をかけるんでしょうね。 O:2年かかることもあれば、2日で完成することもあるよ。僕たちのベストな出来の曲は、1年もかかったものか、もしくは2日で完成したものなんだ。すごく長くかかったか、すごく短くて済んだものがベストなんだよ。 ーーまた、サンプルに用いるレコードはジャズがやはり多いんですか? O:いや、あらゆるものを使うよ。 ーーマニアックな作り方を持っているのに、KOOPの音楽はとても肌触りがよく、親しみやすくもあります。で、じっくり掘り下げて聞くと、実は凄いことをやっているとも唸らされます。それは、あなたたちが求めていることですよね? O:なんて説明したらいいのかわからないけど、曲作りは1年かけて骨組みを築いて行くんだ。そして最後に、血と肉を加えるんだよ。僕たちは常に、時間とのプレッシャーと戦っている。曲をミックスするためにちゃんとしたスタジオをブッキングして、ミックスするために築いた骨組みを3日くらいかけて完成させる。だから、アイディアはたくさんあるんだけど、結果的にはかなり早く仕上がるんだ。 ーー音楽や社会の動向は日々移り変わり、機材も進歩します。それには、影響を受けていますか? O:僕たちの音楽はテクノロジーそのものなんだ。テクノロジーなくして、僕たちの音楽は成り立たない。テクノロジーなくして、僕たちの音楽は広まらないんだ。僕たちは、まさにテクノロジーの産物なんだよ。 ーーテクノロジーの進歩と共に機材も変わって行きますが、それがあなた方の曲作りやレコーディングに影響を及ぼしますか? O:もちろん及ぼすよ。そしてそれは、僕たちのアルバムを聴けばよくわかる。ファースト・アルバムには13年前のテクノロジーが詰まっていて、今のテクノロジーとは違うことがわかる。今なら、もっと複雑な曲を作ることが出来るんだもの。自由度が増したんで、もっとピュアな曲作りが出来る。僕たちの曲作りは、エレクトロニックではなくどんどんオーガニックになって来ているんだ。 ーー一方では、KOOPの核にあるものとして、まったく変わらないものもあると思います。それはどういうものでしょう? O:僕たちにはルールがいくつかあって、それは決して変わらない。まず、ギターはなし。これが一番のルールだね。あと、エレクトリック・ベースもなし。それから、ボーカルに必要のないこぶしがない。歌うからには、メロディをちゃんと歌わないといけないんだ。 あと使用楽器に関しては、たとえば曲にソロがある場合、曲やメロディに沿ったものでないといけない。肝心なのは曲なんだから。それから、バスドラがない。使うことは使うけど、微妙な使い方しかしないんだ。バックグラウンドにそれとなく入っていて、最高でも1小節につき1回しか使わない。あと、歌詞が短いこと。言いたいことは、20行よりも5行で言う方がいいんだ。KOOPのルールについて語りだしたら、きりがないよ。でも、一番肝心なのはギターがないということだね。 ーー日本にも何度か来ていますが、日本の印象は? O:日本の印象は、自分が大きくて、がさつに感じたね。日本人はみんなとても親切で、余計に自分が大きくてがさつな感じがした。日本には5度ほど行ったけど、別のスウェーデンみたいだと思った。アメリカやイギリスと比べると、スウェーデンと日本は別物だと思う。コミュニティとかにそれが出ているんじゃないかな。 ーー(笑)あなたたちはドイツのジャザノヴァやイタリアのニコラ・コンテ、日本のキョート・ジャズ・マッシヴなどとも懇意にしています。他のポップ・ミュージックの分野よりもあなたはフレンドリーでグローバルな関係を容易に築いていると思いますが。 O:それについてはわからないな。もちろん、彼らの事は知っているけど、僕の音楽は…。今君が挙げたアーティストはどれも、ハウス・ミュージックの人たちだ。KOOPは、もっとポップよりだと思うな。僕たちが作っているのは、3分間のポップ・ソングだもの。君が挙げたアーティストはどれも、ハウスDJのための音楽を作っている。これはあくまでも僕の意見だけど、彼らは僕たちと同じような音楽をやっているとは思わないな。でも、似通った点はある。おそらく、同じような音楽からインスピレーションを得ているんだろう。でも、違いは大きいと思うな。僕たちの曲は2~3分間で、60年代のポップ・ソングっぽいんだもの。 ーーお二人は、KOOP以外にサイド・プロジェクトをおやりになっていたりするんでしょうか? O:これまで一度もなかったし、これからも決してないだろう。19歳からずっとKOOP一筋さ。 ーーKOOPはあなたの人生にとってとても大事なものなんでしょうね。 O:KOOPはバンドなんだ。僕たちはプロジェクトじゃないし、プロデューサーでもないし、DJでもない。僕たちはバンドなんだよ。若い頃からずっとそうして来たんだ。僕たちは、ダンス・ミュージックのプロデューサーなんかじゃない。 ーー今年はどんなことをする予定になっていますか?また、新作の準備は進んでいるんでしょうか? O:今、ニュー・アルバムを制作中なんだ。これで4枚目になる。 ーーニュー・アルバムに向けての曲作りは始めたんですか? O:始めたよ。 ーー曲作りとレコーディングは同時進行なんですか?それとも、曲を作ってからレコーディングに取りかかるんでしょうか? O:曲作りは、パズルのようなんだ。それが終わってからレコーディングを始める。そして、歌詞を書くんだ。次のアルバムの歌詞はすごくいいものになるよ。 ーーKOOPのサウンドをなんと表現しますか? O:Technologic pop music dressed in jazz。 ーー素敵な表現ですね。気に入りました。

インタビュー構成:佐藤英輔
通訳:川原真理子

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